眠っている間にちゃんと息をしていますか?

池田診療所 宮田 敬博

 睡眠時無呼吸症候群という病気をご存じでしょうか?眠っている間に息が止まってしまう病気です。普通は1分間に12回くらい息をしています。つまり5秒に1回くらい息をしています。それが寝ている間、30秒、1分、長い人だと1分半くらい息が止まってしまっています。試しに今30秒息を止めて我慢してみてください。苦しくなりますよね。そしてその後、ハアハアしてしまいますね。それを寝ている間に繰り返しているのが、睡眠時無呼吸症候群です。本人は眠っているので気付いていませんが、眠っているのにちゃんと眠れていない、眠りの質が悪い状態が毎日のように続きます。
 そのために、他の病気を引き起こしやすくなります。高血圧や糖尿病、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳卒中などを引き起こすリスクが、健康な人に比べて2〜4倍くらい高いことがわかっています。また突然死のリスクも2.5倍くらい高いといわれています。さらに夜、熟睡できていないために、日中の眠気が強くなります。今までにもバスや電車の運転手が居眠り運転で事故を起こし、調べてみたら睡眠時無呼吸症候群だったということが、数多く報告されています。今、他人を巻き込んだお年寄りの交通事故が問題になっていますが、睡眠時無呼吸が原因の事故は、20歳代30歳代の若い人でも起こしてしまう可能性があります。  
 ご家族が夜中に息が止まっているみたいとか、イビキが大きくなったり、止まったりを繰り返しているみたいと気付いて受診される人もいます。イビキがうるさいと家族から言われる人、太っている人、下あごの小さい人、朝起きたときに頭が痛い人、寝たのに熟睡感がない人、日中の眠気が非常に強い人、夜何回もトイレに起きる人、以上のような項目にいくつか当てはまる人は、一度検査を受けることをお勧めします。  
 検査は、寝る時に小さな装置を付けてできる簡易な検査があります。この装置は貸し出し可能で、自宅で一晩付けるだけでできます。疑わしい場合はさらに検査が必要になる場合もありますが、重症の場合は、この簡易な検査だけで診断がつく場合もあります。
 周りの人からイビキや無呼吸を指摘される人は、一度検査を受けることをお勧めします。また、ご家族の中にそういう人がいらっしゃったら、ぜひ検査を勧めてあげてください。