『 怖い!ゲーム障害 』

指宿竹元病院  藤井 千代美

新型コロナウイルス感染拡大で休校が長期化した昨春、子どもたちの在宅時間が増え、さらに外出自粛を求められたこともあってインターネットの動画視聴やゲームに費やす時間が大幅に増えたという調査結果があります。近年、未成年者を中心にゲーム依存の深刻化が懸念され、世界中で社会問題化しています。

2019年5月世界保健機関(WHO)はゲームのやりすぎで生活に支障をきたす「ゲーム障害」を新たな病気として認定し、以下のように定義しています。

  1. ゲームのコントロールができない。(開始、終了、頻度、時間など)
  2. 他の生活上の関心や日常の活動よりゲームを優先する。
  3. 問題が起きているにもかかわらずゲームを続けてしまう。
  4. ゲームにより個人や家庭、社会、学業、仕事など生活に重大な支障をもたらす

つまり、ゲームで遊ぶ時間を自分でコントロールできなくなり、日常生活においてやらなければならないこともできなくなる状態になればゲーム障害と診断される可能性があります。特に小中学生では短期間で重症化しやすい傾向がみられますので要注意です。

依存状態になると学力や体力の低下のみならずイライラして物に当たる、壊す、家族に当たり散らして暴力を振るうなどの症状や、深夜までオンラインゲームにのめり込むことにより、朝起きられず昼夜逆転し、不登校や引きこもりの原因にもなってしまいます。また、スマホが手元にないと不安になり、手が震えるなどの症状を訴える子どももいます。

このような状態になれば抜け出すのにかなりの時間と労力を要するた、未然に防ぐことがとても大事です。予防する方法としてまず有効なのが、ゲームを始める年齢を遅くすることです。すでにゲームを始めている場合は、1日のゲーム時間や場所を明確に決めることが有効です。その際、紙に書いて貼っておくこと、子どもの意向も取り入れることが大切です。また、ゲーム以外の生活を充実させることでも、予防できるといわれています。

初めは気晴らし、娯楽、遊びだったつもりでも、気づかないうちにゲーム障害という「病気」になってしまいます。ゲーム障害の診断には医師の診察が必要です。少しでも「もしかして」と思ったら、早めに相談窓口(保健所など)に相談し、医療機関を受診しましょう。