木之下クリニック 木之下 藤郎
指宿市民の皆さま。明けましておめでとうございます。令和という新たな時代を迎え、最初のお正月となりますね。 天皇、皇后両陛下の祝賀パレードをテレビで拝見しました。雅子皇后様と同年代の私には、その笑顔と、沿道から歓声を上げる国民の姿に感極まる表情に「よく頑張られましたね」と、誠に僭越ながらお声をお掛けしたい気持ちになりました。外交官だったその見事な語学力を用い、外国要人とも通訳なしで会話をなされる。東京オリンピックなどを控える日本のために、さらにお力を発揮されるお姿が想像されます。
観光地指宿にも、外国から多くの観光客が訪れます。そこで、最近問題となっているのが、外国人の患者さんへの対応です。処置に対しては、なんとか対処可能ですが、診療報酬の受け取りの際、彼らはカードでの支払いを求めます。海外では、カード支払いが主流となっていますが、日本はまだ現金社会で、医療機関でも対応できないところがほとんどです。特に、夜間受診時のトラブルを、多く耳にするようになりました。カード支払いへの対応は、徐々に整備していかなければならないのですが、ホテル旅館関係者は、外国人の宿泊者を夜間受診させる際には、日本円を持たせていただけると大変助かります。夜中にお金のことで時間がかかるのも困りますしね。
医師会が行っている病院群輪番制は、病院で夜間の診療を交代で行う国の制度です。病院だけでは大変と、指宿では有床診療所も加わり、夜間診療を行っています。
しかし、最近、国は「病院のベッドを減らせ〜減らせ〜」と訴えてきます。医療費が掛かるのは、入院できるベッドがあるからだと。そこで国は公的医療機関に限り、診療実績が低い病院名を公表しました。その病院はベッドを減らすか、他の病院と統合・合併しなさいと。診療実績が低いのは、人口の減ってきた地方の病院がほとんどです。指宿には、幸い名指しをされた病院はありませんでした。
それは、救急を頑張ってくれていたおかげと分かりました。 夜間みんなで手分けして1次救急を診て、2次救急病院の負担を、少しでも減らせるよう努力を重ねていますが、先ほど述べた理由で入院施設も減ってきています。医師それぞれにかかる負担も大きくなっており、私を含め医師たちのため息も多くなってきました。
妙案はありませんが、ラグビー日本代表に倣い、ドン!とスクラムを組み、医師会みんなで困難を乗り越える所存です。 安心安全にまちを、市民を守るため。