老化防止について

伊藤記念病院 田代 克也

 男女とも平均寿命が80歳を超え、2030年には65歳以上の人が30%を占める超高齢社会を迎えるに当たって、健康的に年を重ねていきたいと思っている人も多いと思います。そこで、私なりに調べたことをまとめてみました。
 しみ、しわ、体のたるみや体重増加、視力、聴力、記憶力の低下といった老化現象や、血管障害、認知症、がん、サルコペニア、白内障、糖尿病などの老化関連疾患は、細胞内に凝集タンパクが蓄積する、活性酸素が亢進する、最終糖化産物の過剰などによって細胞が正常に機能していないことが一因です。従って、老化防止には栄養素を過剰に摂取しない、特に過食を避けて凝集タンパクを減らす、抗酸化物質を多く摂取する、血糖コントロールによって最終糖化産物の蓄積を抑えるといったことが必要となります。
 具体的には、人間の体を作っている日々の食事や運動習慣、社会参加が大事です。特に、日々の食事は、ただ食べ物に気を付けるだけではなく、食べるタイミングや食べ方にも注意が必要です。 朝食は7時から9時、昼食は12時から14時、夕食は21時くらいまでに取ることが望ましいです。間食はしない方が良く、夕食も時間内に良い物が食べられないときは、抜いても良いです。食べる順番はメイン、野菜、炭水化物が良いです。お薦めの食べ物は焼いた青魚やサーモン、チキン、大豆で、たんぱく質にして一日70g以上必要です。肉類はお薦めできません。生野菜、果物もお薦めですが、特にニンジン、ホウレンソウ、トマト、ブロッコリーといった色の濃い野菜がお薦めです。キノコと合わせて一食あたり100~250g必要です。そのほか、りんご、海藻、玄米、全粉粒のパン、ナッツ、赤ワイン、カシス、ブルーベリー、オリーブオイル、一日一杯以上のミルク、緑茶、コーヒーなども有用です。
 避けるべき食べ物は、動物性脂肪、マーガリン、フライドポテト、ピーナッツバター、精製された白砂糖、白米、パン、お菓子、清涼飲料水、缶詰などです。
 運動は、歩行時間にして一日15分以上と、意外に少ない時間で効果を発揮することができます。他人と交流しながら、体を動かすのが大事で、例えば、ダンス、ゴルフ、ゲートボール、地域のサロン、体操教室、料理教室、オリエンテーリング、ボランティア活動などがあります。
 60歳以上の人は、スクワットやつま先立ちといったレジスタンス運動も効果的です。家で何もしないことは禁物です。できそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。
 ※サルコペニア・・・筋肉量が低下し、筋力や身体機能が低下している状態のこと。
 ※レジスタンス運動・・・筋肉に繰り返し抵抗をかける筋力トレーニングのこと。