骨粗しょう症三大骨折

長野整形外科クリニック 長野 祐一

 日本の骨粗しょう症の患者数は約1280万人、男性300万人、女性980万人いるといわれ、軽微な転倒などでおきる骨折に、手首の骨折、背骨の骨折、足の付け根の骨折があり、骨粗しょう症の三大骨折と呼ばれています。 三大骨折について治療と予防について説明します。
 手首の骨折は、あまりズレがないときはギブスで固定しますが、大事なことは必ず指を根元から動かしながら治すことです。 腕を大事に大事に動かさずに安静にされる方がいますが、動かさないとすぐに関節は硬まってしまいます。 肩、肘、指は積極的に動かしましょう。
 背骨の骨折は、いつの間にか知らないうちに起きることもあり、背が縮んだ、背中が丸くなったなどあまり痛みを伴わないこともあります。
 重たいものを持たない、中腰での作業は、長時間しないようにしましょう。重篤な合併症に、遅発性脊髄神経麻痺(あしが動かなくなる、あしがもつれる)、偽関節(空洞ができ骨がくっつかない)があり、数カ月後に手術になることもあります。
 しりもちをついたり、重たいものを持ったり、何かを引っこ抜いたりして腰の痛みが出現したら、早めに病院へ受診してください。コルセットで腰を固定して、骨を守ります。
  寝たきりに原因のひとつに、足の付け根の骨折があります。治療法は手術しかありません。早期に手術をし、リハビリをして、寝たきりにならないようにします。絶対安静は、筋力を三週間で半減させます。体の機能を失って、寝たきりになる廃用症候群にならないことが重要です。
 また転倒防止のため、ころばん体操への参加、足の筋力増加、バランス訓練などが大事です。骨粗しょう症は、骨折を起こすまで自覚症状はありません。知らぬ間に徐々に進行していきます。検診と同じで、年に一回の骨密度測定を、お勧めします。
 予防は、基本的には食事や、運動ですが、骨密度が低い場合は、内服薬、注射、毎日,週一、月一、6ヵ月に一回など、いろいろな種類の薬剤があります。特に骨密度が低く、骨折の危険性が高い場合は、一生涯のうち二年間の限定ですが、週一回の注射や、毎日自宅でできる自己注射もあります。 骨質の確実な効果が期待でき、また骨粗しょう症による腰の痛みにも改善効果があります。 早めの骨粗しょう症検診を、気軽にかかりつけ医に相談しましょう。