高齢者の血圧管理

大重内科 大重 万里子

 私たち内科医療で一番出会うことの多い疾患は、高血圧です。加齢とともに高血圧症は増え、75歳以上の80%の方が高血圧症ということです。しかも、高齢になるにつれて高血圧症の特徴は、高くなったり低くなったりと安定せず、寝ている時間にも血圧が高かったり、早朝に高いこともあります。日中に血圧が正常値でも高血圧が隠れていることがあります。 また反対に低くなることもあり、立った途端に立ちくらみしたり、食後の1,2時間に血圧が下がっていたりということもあります。ですからいろんな時間帯に血圧を測ってみることが必要です。
 皆さんが、かかりつけ医にいくと「減塩」「運動」「適正体重」「喫煙」「飲酒」などの生活習慣の見直しについて口を酸っぱく、何度も言われると思います。
  しかし、「減塩」一つにしても習慣を変えることは簡単ではありません。大げさにいえばその家の継承された味をかえることになるからです。それは親から受け継いだ味かもしれません。しかし、まずは「納豆にしょう油をかけないで食べてみませんか」。意外においしいですよ。 「煮物の回数を減らしたり」「味噌汁を半分の量にしたり」から、まず始めることが大切です。最近はかなりの方が減塩意識をもってこられているように思います。
 また「運動」については、すぐ始めることのできる人はそう多くはいません。運動もまず「玄関で靴をはいてみませんか」から始まります。でも外に出るには、髪をとかしたりしなければならず、まさか寝間着のような格好で出るわけにもいきません。そこにもハードルがあります。運動のまえに身支度の習慣をつけなければなりません。(これは、わたしのことを言っているのですね。みなさんに言う前に自分の生活習慣を見直す必要があるようです。)
 「飲酒」や「喫煙」の改善は、依存性の問題があって至難の業です。しかし、飲酒の量が多い人は寝る前になってもアルコールの影響が続いており、寝ながらマラソンをしている状態にあるため、心臓への負担は大きいです。
 また「喫煙」については、東京都の受動喫煙防止対策に習い、オリンピックを契機に職場のみなさんで禁煙に挑戦されてはいかがでしょうか。
  最近太ってきたと思われる方も特定健診や長寿健診を利用し、ご自身の健康を知っていただきたいと思います。