『 目の疲れ 』

高橋眼科医院 高橋 正孝

 ほとんど全ての目の病気が、目の疲れを引き起こします。目の疲れを訴えて受診され、重大な目の病気が見つかることもあります。目の疲れを引き起こす頻度の高い原因として、次のようなものがあります。
1.眼鏡の問題  
 片目だけ見えてもう片方はまるで見えない人、老眼鏡がなくても見えると言って頑固に眼鏡を拒否する人、あるいは100円眼鏡で十分だと思い込んでいる人などがいます。100円眼鏡などは、1~2分掛ける場合にはいいでしょうが、右目の視線と左目の視線が目標物に合わないことがあります。また、左右同じ度数で作られているため、自分の目に合わず疲れる原因にもなります。 年齢を重ねるにつれて、遠くを見る眼鏡も近くを見る眼鏡も、適切な度数は変わります。一般的に、老眼鏡は一生のうちに平均4回レンズの度数を交換する必要があります。
2.ドライアイ(目の乾き)  
 成人は1分間に20回ほどまばたきをしますが、スマートフォンやパソコン、ゲームなどをするとまばたきの回数が減り、目の乾燥・痛み・充血などが起きます。最近は、この眼精疲労からくる肩こりや頭痛など、全身的な症状を訴える人が増えています。意外に思われるかもしれませんが、リウマチや甲状腺疾患などの病気とも、深く関わっていることがあります。
3. 緑内障  
 緑内障の多くは、初めのうちはほとんど自覚症状がありません。目の疲れがひどくなって眼科を受診したころには末期で、視野が極端に狭くなっていることがあります。白内障と違って、手術をしても元には戻らないため恐れられている病気です。ですが、早期に発見し正しく治療を行えば、失明率は100人に1人以下と考えられています。
4. 斜位・斜視・不同視など  
 両目が同じ目標に同時に向かない、両目のピントが左右で大きく違うことなどが原因です。
5. 白内障  
 加齢により目のレンズが濁るものです。手術でほぼ改善しますので、目の疲れの原因としては、あまり深刻なものではありません。  
 目が疲れる人は、ストレスを除き睡眠を十分にとっても改善しないときは、眼科専門医を受診することをお勧めします。その際は、必ず自分が使用している全ての眼鏡と、お薬手帳を持参されることをお勧めします。