こどもの森小児科クリニック 森 浩純
「こどもが、卵を食べたら、体にブツブツが出てきました。アレルギーでしょうか?」
今日も心配そうな親子が、病院の外来を受診しました。同じ様な経験をなさった人もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、子どもの食物アレルギーについて書いてみます。
食物アレルギーにはいくつかのタイプがあります。今回は、最も頻度の高い「即時型(食べて数分〜数十分の短時間で症状が出る)についてお話しします。
1.原因の食べ物
卵、乳製品、小麦が三大原因です。年齢が低いほど症状が出やすいので、離乳食で初めて茶碗蒸しを食べた時、卵ボーロを食べた時など低年齢の発症が多いです。
2.症状
口にして数分〜数十分で顔・体に発疹や皮膚が赤くなる症状が出る場合が多いです。遅くても2時間以内には症状が出るといわれていますので、前日に食べたもので発症することはありません。
3.対処法
症状が出たときの対応ですが、皮膚症状が出るだけで機嫌も良く、元気であれば様子を見ていても大丈夫です。呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしてきたなどの症状(アナフィラキシー)が出てきた場合は、医療機関に相談してください。その後の対応ですが、食べ物が原因かどうか疑わしいときは、原因をはっきりさせるために血液検査や食物負荷試験などの検査をすることもあります。今後の食生活に気をつけなければなりませんので、原因となる食べ物がはっきりした場合は、医師の指示に従ってください。ただし、年齢が上がるとともに、その食べ物を食べても症状が出にくくなります。つまり、年齢とともに食べられるようになる子どもさんが多いです。悲観しなくても大丈夫です。そのためにも、主治医とよく相談してください。
一昔前は「できるだけ怪しい食べ物は避けましょう」という治療でしたが、今は「できるだけ食べられるものは食べましょう」と全く逆の方針に変わりました。ただし、アナフィラキシーショックなどの生死に関わるような強いアレルギー反応を示す子どもさんもいます。しっかりとした管理が必要な場合もありますので、一人ひとりにあった対応が必要です。主治医と相談の上、対応していきましょう。
4.最後に
食物アレルギーと間違いやすい病気の紹介です。
①乳糖不耐症
牛乳を飲むと下痢をする・・・乳糖を消化できないためです。
②仮性アレルゲン
鮮度の落ちた青魚(サバなど)を食べてじんましんが出る・・・食物に含まれている
化学物質が原因です。新鮮な魚であれば問題ありません。