『 その ”姿勢” 大丈夫? 身近に潜む! スマホ首 』

今林整形外科病院 今林 正典

皆さん、スマホ首という言葉をご存じでしょうか?

最近、テレビなどで取り上げられることが多くなり、一度は耳にしたことがある言葉かもしれません。今や世帯におけるスマホの保有状況は8割を超え(総務省統計2019年)、その便利さから私たちの生活になくてはならないものとなっています。しかし、たいへん便利なスマホですが、使っている時にどうしても下を見てしまいがちです。

人の頭の重さは体重の約10分の1(例えば体重が60kgの人の頭の重さは約6kg)ですが、立ってメールを読む時では、首にはその4倍以上の負荷がかかっています。これは、頭の上に小学3年生の子供が乗っているのと同じくらいの負担です。このような悪い姿勢で長い時間スマホを使っていると首周りの筋肉がコリ固まってしまい、さらにその状態を放置していると関節が変形して首が前に傾き、本来あるべき首のカーブが失われ、真っすぐに伸びた状態になってしまいます。このような状態になると、首コリ、肩コリ、肩甲骨周囲の痛み、頭痛、めまいや吐き気、自律神経失調症などさまざまな体の不調を起こしてしまいます。

というのも、人の背骨は身体を真っすぐに立てるために重要な役割を果たし、背骨の中には大事な神経が通っています。そのため、そこに何らかの異常があれば、しびれや感覚障害などの神経症状が現れます。特に首の骨の場合は頚椎症や頸椎ヘルニア、首から手にかけての症状が現れやすくなります。

さらに、座った状態でのスマホやパソコンを見るなどデスクワークを行う場合も十分注意してください。日本人が座っている時間は世界でもトップクラスであり、一日平均7時間と言われています。特に読書やパソコンをする時、椅子に浅く座って背もたれに寄りかかるような姿勢、いわゆる猫背姿勢を長い時間続けてしまうと腰に疲れがたまって痛みや張りなどの症状が出やすくなります。

ここで、姿勢の確認方法をご紹介します。とても簡単ですのでぜひやってみてください。

壁に踵とお尻、肩をつけて立ちます。この時、壁から頭が離れている場合はスマホ首、そして頭だけではなく壁から肩も離れている場合は猫背の状態になっているかもしれません。首や腰への負担を少なくするには、普段からストレッチや運動などでコリ固まった首や背中まわりの筋肉をやわらかくすることが大切です。

コロナ禍で外に出ることが少なくなったことで、人との交流の機会が減り、活動量の低下や運動不足などといわれていますが、適度な運動と正しい姿勢を心掛け、健康な毎日をお過ごしください。