『 骨粗しょう症 』

今林整形外科病院 矢崎 雄一郎

 骨粗しょう症とは、骨の量が減り、骨の質も劣化して骨の強度が低下して骨折しやすくなった状態です。骨粗しょう症になっても、普通痛みはありません。ただ、ちょっとしたはずみで、背骨が骨折したり、転んだときに手足の骨折などを起こしやすくなったりします。
 現在、日本人の中で骨粗しょう症は1300万人ほどいるといわれていますが、実際に病院で治療を受けている人は300万人程度しかいません。病院で診断を受けて治療を始めても、薬が合わないという理由でやめたり、元々検査を受けていなかったりするため、分からない人が多いからです。
 今回は骨について、もう一度勉強してみましょう。では、なぜ年を取ると骨がもろくなるのでしょうか。骨は新しい骨を作る骨芽細胞と、古くなった骨を吸収する破骨細胞の連携によってできています。この二つの細胞のバランスが崩れると、骨の病気になります。骨芽細胞が暴走すると、怖い骨肉腫や脊椎の神経を圧迫する骨化症になります。反対に、破骨細胞の動きが強くなると、骨がもろくなる骨粗しょう症になります。骨の量は、生まれてから徐々に増加して、20歳代から30歳代でピークになり、その後、年とともに徐々に低下していきます。女性は閉経後、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなり、男性よりも早く骨がもろくなります。また、思春期の極端なダイエットも原因だといわれています。そのほかにも、タバコや過度の飲酒、偏った食生活、運動不足が原因で骨がもろくなります。病気の中では、ステロイドを長期に服用しているリウマチや糖尿病、慢性腎臓病の人などは、骨のバランスが崩れて骨がもろくなります。
 次に、骨粗しょう症の予防と治療を紹介します。よく言われていることですが、カルシウムを含めバランスよく食事をとることが大切です。ただ、サプリメントや牛乳などの取りすぎには注意してください。カロリーの取りすぎは、他の病気の原因になります。
 次に運動です。運動により筋力がアップすると、骨の量だけでなく骨の質も改善します。ウオーキングや水泳、グランドゴルフなどで、運動を楽しく続けられるといいですね。屋内では、無理のない範囲でできるロコモ体験などもあります。
 最後に、一度も検査を受けていない人は、ぜひ病院で検査だけでも受けてみてください。いま、病院で治療に使われているお薬はさまざまで、きっと体に合うお薬があるはずです。