生活不活発病について

指宿浩然会病院 大重 京子

 生活不活発病とは「生活の不活発」が原因で起こる心身の機能低下のことをいいます。東日本大震災などの災 害時に避難した人たちの中に動くに動けない状況から活 動量が少なくなったことで精神が不安な状態になったり、 介助が必要なくらい身体機能が低下したり、生活習慣病や持病が悪化するなどの事例があり注目されるようにな りました。
  今年は新型コロナウイルスの発生で感染対策として3密を避ける、咳エチケット、こまめな手洗い、不要不急の外出を控えるなどの新しい生活様式を私たちは行っています。また、熱中症対策も必要になりマスク着用時は激しい運動は避けてこまめな水分補給、人と2m以上離れているときはマスクを外す、気温が35℃を超える日は運動を中止するなどの対策が求められています。これ らの対策により私たちは人との交流が少なくなり、生活の活動量もかなり低下したのではないかと思います。本市でもころばん体操や体操教室などが縮小され、運動をする機会も少なくなってしまいました。このように動かない(生活が不活発な)状態が続くと生活不活発病が起こります。特に高齢者や持病のある人は起こしやすいため、早期の発見と対策が大切です。
発見のポイントは
 ①屋外を歩くことができるか
 ②自宅内を歩くことができるか
 ③身の回りのことができるか
 ④車いすが必要か
 ⑤外出の回数が減っていないか
 ⑥日中体をよく動かしているか
 ⑦災害の前より歩行が大変か
 ⑧新たにできなくなったことはないか
などを確認します。もしできないことやできなくなったことがある場合は、生活不活発病が起こっている可能性 があります。生活不活発病の改善は生活の仕方を活発にするように変えることです。毎日の生活の中でどんどん動くようにしましょう。家事も運動と考えて積極的にやりましょう。座ったままでもできる運動をやりましょう。強度を問わずどんな動きでも良いので、身体活動を毎日 40分間行うことも勧められています。「安静第一」が逆に動けなくなる原因になるかもしれません。分からない場合はかかりつけ医にどの程度動いたらよいか相談するのも良いと思います。
 新型コロナウイルス対策は当分続きそうです。生活不活発病に気を付けて、新型コロナウイルスに負けないように頑張りましょう。