アルコール依存症からギャンブル依存症そしてゲーム障害

指宿竹元病院 竹元 隆洋

1 依存症のはじまりから問題発生まで
 お酒を飲むと、良い気分。ギャンブルで勝つとワクワク気分。ゲームをすると面白くて興奮する。
このような快感を繰り返していると、脳は徐々に鈍感になるため、お酒を飲む量が増えたり、ギャンブルに使う金額が増えたり、ゲームをする時間も長くなります。さらに、何回も繰り返すと、より強い快感や刺激を求め、やめたくてもやめられなくなり、自分の行動をコントロールできなくなります。その結果、健康問題、日常生活や家族の問題、学業の問題、仕事や経済の問題、地域社会での迷惑行動や犯罪(暴力や窃盗など)も発生します。

2 まず予防を心掛けること
 アルコールやギャンブル、ゲームは、初めは単なる飲み物、気晴らし、娯楽・遊びだったつもりでも自分でも気付かないうちに、アルコール依存症などの病気になってしまうことがあります。予防を心掛けるためには、ある程度の知識が必要です。多くの患者さんが、病気の予防をせず、病気であることの自覚もないため、治療を行わないまま、症状が進行しています。予防策として、アルコールは飲酒量と飲む日数の制限、ギャンブルは金額と日数の制限、ゲームは時間の制限があります。 制限することなく、飲みたいだけ飲む、したいだけすることが最も危険です。

3 治療

 治療は、自分が病気になっているのではないかと自覚することから始まります。依存症は自分では気付きにくい病気であるため、自覚のない人が家族や友人、職場で注意を受けた際は、素直に受け入れ、早く治療をスタートすることが大切です。
 しかし、すでに依存症が進行した患者さんは、自分が病気であることや、治療の必要性を認めようとしません。自分のしたいことを気ままに行い、自己中心的な行動を繰り返します。その結果、家族が無理やり病院に連れて行くことも、少なくありません。ここに至るまでに、多くの月日を浪費してしまうことになるため、まずは、家族が精神科病院に相談することが一番手っ取り早い方法です。本人の生活の仕方や病気の進行状態によって、家族からの説得の方法を、医師から具体的に指導してもらえます。その後に、家族が知識を持って本人を説得すれば、病気の自覚や治療を始めるなどの決断に極めて効果的です。