『 みんなで支える安心な街づくり 』

指宿医療センター 鹿島 克郎

 皆さんが当然の権利として考えている“病気になれば誰でも病院に入院して治療できる”といった国民皆保険の医療制度は、日本が世界に誇るべき制度です。
 例えば、米国では個人が加入している保険の内容で病気の治療内容が変わってきます。富める者は高額な医療が受けられ、貧しいものにはそれなりの医療しか提供されず、場合によっては救急医療すら受けられない貧困層も多数存在します。
 しかし、この恵まれた日本でも急速に高齢化が進み、同時に少子化も進んでいるために人口が減少し、今後、医療費を維持することが困難になります。だからといって、米国のように高い保険料を払った患者さんが優遇される制度は、決して認めることはできません。
 このまま進むと私たちの未来は、そして子供たちの未来はどうなるのでしょうか。既に、現在の医療の現場、介護の現場では人手不足が深刻になってきています。『未来の年表 ―人口減少日本でこれから起きることー』の著者、河合雅司氏は、2021年、親の介護の為に仕事を辞める人が大量発生すると指摘しています。要介護者が急増し、施設整備が追いつかず、“介護難民”が急増するというのです。  このような医療の問題を議論するとき、多くの人たちは自分とは無関係な問題だと思いがちです。しかし、元気な若者もいずれ老いて、介護される立場になります。
  “病気の人や介護の必要な人をどのように支えるか“を、社会全体で真剣に考える時期が来ています。私は、地域全体でこの問題に取り組む必要があると考えています。
 具体的には小学校、中学校、高等学校で、若者がこの問題に関心を持ち理解を深め、自治体や公民館、会社や事業所などで、日頃から議論を尽くす必要があると思います。これは、災害時の地域のセーフティーネットを考えることと同レベルの問題であることを認識しなければなりません。
 元気な若者や、まだ健康を維持できている高齢者が、医療施設や介護施設でボランティアとして働く環境が今後、必要になると思います。学生も主婦も職場で働く人たちも、健康であれば一定の時期や時間を、病める人や、介護の必要な人達に割く。このよう社会にならないと、超高齢化社会の社会保障は成り立たなくなる可能性があります。
 指宿の地域社会が、昔の大家族で村のコミュニティーを守っていた頃のような、みんなで支え合う街になれば、安心で穏やかな老後をみんなで迎えられるのでないでしょうか。  

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