『 たかが耳あか されど耳あか 』

永田耳鼻咽喉科医院 永田 和人

  ここ30年ほど、学校検診に行っています。春と秋の2回です。昔は喜入まで行っていましたので、4000〜5000人の生徒を診ていました。耳、鼻、のどの状態を一目見て、病気があるかないかを判断します。
 20年ほど前は、鼻たれ小僧や耳から汁が出ているお子さんがいたものですが、最近はそのような子はたまにしかいません。そのかわり、アレルギー性鼻炎の子が急激に増えています。便利さが増して、住環境や食べ物が変わり、世の中のさまざまなストレスに対し、体の抵抗力も下がっているのかもしれません。
 ここ10年ほどの検診で気付くのは、病気のある子ではなく、耳あかがたまっている子が多くなったことです。その場で取れる耳あかは、取るようにしています。片耳でもふさがっていると、音が右からしているか左からしているかが分からず、時々に学ぶべきことが学べなくなります。両耳がふさがっているとなおさらです。ご高齢の方で、認知症といわれている方でも、耳あかのためにそう診断されていることもあります。耳あかは、聞いた聞かんかったというので、兄弟げんかや夫婦げんかの元にもなるのです。ご家族の耳は、お互い時々のぞいて見てください。そのかわり、無理をして取らないでください。
 赤ちゃんの耳の中は、小さくてよく見えません。耳たぶを引っぱって見ると、入口の耳あかはよく見えます。お風呂上がりの時に、綿棒を回すようにして取ってやるといいです。
 綿棒を前後に動かすと、耳あかが中に入ったり、外耳道や鼓膜を傷つけたりしますから、気を付けてください。 高齢の方の耳あかは、長い間放置されて、石のように硬くなっていることもあります。耳鳴りや難聴、頭痛や耳痛を伴うこともあり、耳あかを溶かしながら取るのに、数日かかることもあります。
 たかが耳あか、されど耳あかなのです。