超音波(エコー)検査について

小吉胃腸科クリニック 永井 志郎

 超音波は、人の耳には聞こえないほどの高い周波数の音のことです。超音波を体の外から当てて、内部の状態を映像にして行う検査が、超音波検査です。エコー検査ともいいます。調べる臓器などによって以下の種類があります。

1 腹部超音波検査
 肝臓、胆のう、すい臓、腎臓、脾臓を調べます。 肝臓がん、肝硬変、脂肪肝、胆石、胆のうポリープ、胆のうがん、すい臓がん、膵のう胞、膵石、腎臓がん、腎臓結石、腎のう胞、脾腫、脾腫瘍などが分かります。原則、絶食で行います。

2 心臓超音波検査
 心臓の壁の厚さ、奇形、心筋の動き、血液の流れ、弁の動きなどが影像化されます。全身に血液を送る心臓の働き具合を調べます。

3 頸動脈超音波検査
 頸動脈は首の側面を通り、頭に血液を送る重要な血管です。動脈硬化を診断します。脳の病気のほかに、心筋梗塞や狭心症など心臓病の危険性も推測できます。

4 甲状腺超音波検査
 甲状腺はのどぼとけの下にあり、新陳代謝を調節するホルモンを出す働きをしています。 甲状腺腫瘍、甲状腺炎、のう胞などがわかります。

5 乳腺超音波検査
 乳房のしこりを調べます。乳がん、乳腺症、乳腺炎などがわかります。放射線被ばくがないので、妊娠中の女性でも安心して検査できます。

6 下肢血管超音波検査
 足の血管の血液の流れ、血栓(血のかたまり)の有無などを調べます。静脈血栓症、静脈瘤などを診断します。

7 各診療科
・産婦人科では、妊婦健診で超音波検査を用いて胎児の成長具合や病気の有無を調べます。また、子宮筋腫、子宮がん、卵巣腫瘍などを診断します。
・泌尿器科では、前立腺肥大や前立腺がん、腎結石、腎臓がんなどの診断に用います。
・皮膚科では、粉瘤、脂肪種など腫瘤性病変を調べ、良性悪性の鑑別に役立ちます。
・整形外科では、筋肉や腱の断裂、損傷、軟骨の状態、筋肉・腱の動き方などを確認できます。
 その他、特殊な超音波検査として、消化器内科で超音波内視鏡検査、循環器科で経食道心エコー、産婦人科で経腟エコー、肝臓の造影エコーなど、準備を必要とする検査もあります。

 超音波検査は放射線被ばくがなく、検査による痛みなどもないので、妊娠中の女性にも安心して使えます。特殊な超音波検査を除けば、特別な準備の必要もありませんので、手軽に行える検査ですが、得られる情報は非常に多く、さまざまな病気の診断に役立っています。