指宿温泉ケアサポート 牧角 倫之介
「がん」について他人事だと思っていませんか?
生涯のうちにがんに罹る可能性は2人に1人といわれています。高齢化や生活習慣の変化とともに「がん」は誰でも遭遇する可能性がある病気になっています。しかし、このような知識はまだ十分に浸透しているとは言い難く、身近な病気であるにもかかわらず自分のこととして捉えにくく、また罹患すると隠したくなるなど特別視されるケースも少なくありません。がん治療は日進月歩で進化しており、おのおののがんにおいて有効な治療法や治療薬の開発が進んでいます。早期に発見して適切に治療すれば死亡率を軽減でき、禁煙などの生活習慣の見直しにより発症自体を予防できることまで分かっています。病気を正しく理解し、早期発見・予防について取り組むことが大切です。
「健診」と「検診」の違いは?
「健診」とは、いわゆる健康診断であり、健康かどうかを調べ、病気の発生を未然に防ぐことを目的とします。「検診」とは、ある特定の病気にかかっているかどうかを調べ、特定の病気に対し早期発見・治療を行うことを目的とします。がん検診をはじめ、骨粗しょう症検診や歯周疾患検診などが該当します。検診には、市区町村などが主体となり公的に行われる対策型検診と、個人が自身の目的や好みに合わせて行う人間ドックなどの任意型検診があります。対策型検診は対象集団全体の死亡率を軽減することを目的とする公的なサービスであり、その費用は無料または一部の自己負担のみで受けることができます。
検診で精密検査が必要と判断されたら?
がん検診は、罹患率が高くなる年齢から対象となっています。検診で精密検査が必要とされた場合、本当にがんがあるか調べる必要があります。精密検査の対象となったうち、がんと診断されるのは1~4%に過ぎません。精密検査を受けたその大半ががんではなかったという結果になりますが、精密検査を受けない場合、がんを放置してしまう可能性があります。症状がないからといって精密検査を受けないことが、のちに大きなデメリットを生じさせてしまう可能性があります。がんの診断率は以前より高まっていますが、検査の精度に100パーセントはありません。そのため初回の検査で診断がつかない場合もあります。初回の検診で診断できなかった場合でも適切な間隔で受け続けることで、がんを発見できる確率は高まり、がんによる死亡を回避することにつながります。
新型コロナウイルス感染症が流行している昨今ですが、このようなときだからこそ、自身の健康管理をいま一度見つめ直してみるのはいかがでしょうか。