高血圧のお話~家庭血圧測定のおすすめ~

いぶすき内科 湯通堂 敏郎

①高血圧の原因って何?
 高血圧の多くは生活習慣病などの環境因子や体質などが原因とされる本態性高 血圧です。一方、腎 臓病やホルモン異常などの病気が原因となる場合もあり、こちらは病気が治ると 高血圧も改善しま す。
②血圧が高いとどうなるの?
 高血圧を放置すると、動脈硬化が進行し、死亡や寝たきりの原因になる脳 卒中や心臓病、あるいは 腎臓の働きが低下する腎臓病などの重大な合併症につながります。また高血 圧は自覚症状がないこ とも多く、知らないうちに合併症が進行してしまうこともあります。
③高血圧の診断は?
 高血圧は、病院で測定する『診察室血圧』や自宅で測定する『家庭血圧』を用いて診断されます。  2019年高血圧治療ガイドラインでは、最高血圧、最低血圧のどちらか一方でも次の基準となれば、高 血圧と診断されます。

 最高血圧 最低血圧  
診察室血圧(mmHg)   140以上 90以上
家庭血圧(mmHg) 135以上 85以上

『診察室血圧』と『家庭血圧』に差がある場合は、『家庭血圧』を優先します。

④血圧はどこまで下げればいいの?
 2019年高血圧治療ガイドラインでは、『診察室血圧』と『家庭血圧』の降圧目標値を次のように定め ています。

  診察室血圧家庭血圧 
75歳未満の成人   130/80未満  125/75未満
 75歳以上の高齢者140/90未満  135/85未満

                         (最高血圧/最低血圧 mmHg)
  糖尿病、狭心症・心筋梗塞、腎臓病、脳卒中などの合併症の有無により降圧目標値が異 なりますの
 で、ご自身の目標値をしっかり把握しておきましょう。

⑤正しい家庭血圧の測定方法は?
『家庭血圧』は朝と夜の1日2度測るのが原則です。血圧を測定する際は椅子に座り、1~2分の安静後 朝は ・起床後1時間以内に  夜は ・就寝前に
    ・排尿を済ませ、 ・入浴直後は避けて ・朝食や服薬の前に ・飲酒直後は避けて  
 測定しましょう。 1度の測定につき、2回測定して平均値を出します。

⑥家庭血圧のメッリトは?
 『家庭血圧』は時間を決めて毎日同じ条件で、また安定した状態で測定できますので、より正確な血 圧情報を把握することができます。また測定値を記録しておくことで、自分自身の健康管理の目安と
 なり、医師にとっては重要な診断材料や治療方針の助けとなります。 血圧は常に変動していますので 1回の測定値に一喜一憂することなく一定期間の平均値を見ることが大切です。寒暖の差や入浴中の血 圧変動には注意が必要です。また血圧上昇を防ぐには十分な睡眠やストレス解消も大切です。皆さん も『家庭血圧』を測定してご自身の健康管理に役立ててはいかがでしょうか。