大重内科 大重 万里子
最近、コロナ禍で家にいることが多くなり、二十四節気七十二候の本を眺めています。本によると、春はツバメが来て、越冬していたガンが北へ帰り、虹が現れ、水辺のヨシが生え始め、霜が無く稲の苗が育ち始めるなど、春は喜びに溢れています。今回は、春特有の病気について触れます。
最もポピュラーなものは花粉症です。2月頃から花粉が飛んでいることを自覚します。眼科や耳鼻科の先生方は、症状を軽くするためには、症状が出ない頃からの治療を勧めています。また、4月からの新入生や新入社員は1カ月遅れで5月病になる人がいます。意外ですが、職場の先輩方も新しい人間関係が安定するまでストレスを感じることが多いそうです。ストレスはノートに書き出すことによって癒されるといわれています。
春に流行するウイルス性疾患では、風疹・はしか・おたふく風邪が代表です。コロナ禍で有名になった「人流」が関係しているといわれます。人が大きく動く春だからこそ、かかりやすくなるようですが、コロナ禍では人が集まる機会が減ったので、例年より著減しているようです。風疹に関しては、昭和37~53年度年生まれの男性でワクチンを打たなかった人に接種をする制度があるのでぜひ利用してください。
春に悪化させがちな病気は「冷え」による影響があります。まだまだ昼と夜の気温差が大きく、特に高齢者は5度以上の気温差で体調を崩す可能性があると考えられます。若い人でも気温差に体が適応できず、春先に風邪をひきやすくなります。ぼうこう炎、神経痛、関節痛、腰痛、腹痛などの症状が出ることもあります。さらに、気温差により自律神経が乱れることが多いので、体をよく温めることが大事になってきます。自律神経が乱れると、頭痛や目まい、のぼせ、血圧の変動、息切れ、息苦しさ、吐き気、便秘、下痢、手足の痛み、しびれなど、さまざまな症状が出ることがあります。自律神経の中枢は目の奥の辺りにあり、その近くにはホルモン調整を行う下垂体があるので、ホルモンの失調が起こり、症状が出てくる可能性があります。自律神経症状は疾患ではなく状態なので、なかなか診断の難しいところです。規則的な生活をして、朝はしっかり太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、夜更かしはやめ、夜間のテレビやスマホの使用を制限することや、起床時に一杯の水を飲み、バランスの良い食事をし、ウォーキングの習慣を作ることなどが大切です。
皆さんも健康に過ごせるように生活を見直しましょう。