『 かかりつけ医とケアマネージャーの連携 』

大重内科 大重 力

 介護保険制度は、ちょうど2000年に始まりました。制度創設時の目的は、家族の介護負担を減らし、本人や家族の望む形で介護サービスを受けられるようにすることでした。
 要介護度は、介護が必要な程度に応じて段階が決められていますが、介護度の重い人は、実際には同時に重い疾患を抱えている場合が多くあります。介護と医療は、総合的な対応が求められる場合が少なくありません。介護サービスを利用している人は、必ず担当の介護支援専門員(ケアマネージャー)が決まっています。 ケアマネージャーは、定期的に利用者(患者さん)の状態を見に行き、主治医に状態を報告します。主治医も定期的に診察や往診を行い、1か月ごとにケアマネージャーに状態の変化を報告します。 ケアマネージャーは、主治医の報告を基に、その患者さんにとって最も適した介護サービスの利用計画を立てます。これをケアプランと呼びます。 主治医とケアマネージャーは、患者さんの状態が変わったときは、いつも連絡を取り合っています。具合が悪くなったり、入院が必要になったりした場合に、直ちに対応がとれるようにしています。 自宅で療養できれば一番いいのでしょうが、場合によっては状態が悪化したり、家族の都合などにより自宅で見ていくことが困難になってしまったりすることもあります。そのような場合に、いつでもすぐに入院を受け入れてもらえるような病院(連携病院)も増えてきています。その際、主治医とともに入院先の病院と連携をとってくれるのもケアマネージャーです。  慢性疾患は、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが多いので、何度も入退することがあるかもしれませんが、いつでもケアマネージャーが病院との連携に努めてくれます。
 患者さんが退院する際にも、自宅に帰ってからも、必要な介護サービスを切れ目なく利用できるように、病院とケアマネージャーが連携をとって進めることができるような仕組みもできています。
 「本人や家族が望む形の必要十分な介護サービスが受けられること」という介護保険制度の理念に沿って、主治医とケアマネージャーは連携して動いています。