『 夏の3大感染症にご注意 』

肥後内科クリニック  肥後 高春

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世の中を席巻しておりますが、それ以外にもこれまで同様流行する感染症もあります。それが夏の3大感染症といわれる、「プール熱(咽頭結膜炎)」「手足口病」「ヘルパンギーナ」です。乳幼児にかかりやすい感染症としても有名ですが、大人が感染すると重症化する恐れもある危険な感染症です。特に猛暑の中、仕事・運動により体力が低下し食欲がなくなってくると、体の免疫が下がり感染しやすくなります。

「プール熱(咽頭結膜炎)」は、プールの水を介して流行することが多いため、このような名前がついていますが、高熱・のどの痛み・目の充血などの症状を引き起こします。飛沫感染・接触感染するため、コロナウイルス同様感染予防が大事になってきます。

「手足口病」は、口の中・手のひら・足の裏に水泡性の湿疹が出て、発症者の3分の1の人に発熱がみられます。まれに髄膜炎・小脳失調症・脳炎などの合併症を生じることがあります。大人も感染するリスクもあり、大人が発症した場合、症状が重く出やすい傾向にあります。発疹の痛みはもちろんのこと、全身倦怠感・悪寒・関節痛・筋肉痛などインフルエンザのような症状が出ることもあります。最近は、手足口以外にも、肘・膝・お尻に発疹が出ることもあるようです。

「ヘルパンギーナ」は乳幼児がかかりやすい代表的な夏風邪です。高熱・口内炎のようなプツプツとした赤い発疹が特徴的で、熱性けいれんや脱水症が重なると重症化する危険性もあります。ウイルスが便中に排出されるため、オムツ交換した際に手指に付着し、手洗いが不十分だと大人も感染をしてしまい、脳炎・髄膜炎・心筋炎など重症化することもあります。

いずれも飛沫・接触感染が基本感染ルートですので、これまで新型コロナウイルス感染症と同じように、手洗い・消毒の徹底にて予防できる感染症です。ただ、気を付けないといけないのが、この3大感染症は新型コロナウイルス感染症とは違い、アルコール消毒剤に対する抵抗性が高いため、せっけんによる手洗いが重要になってきます。そして、これらの感染症は全てウイルスによるものなので基本的にワクチンや特効薬などは無く、症状を緩和させる対処療法しかありません。

新型コロナウイルス感染症のおかげといっては語弊があるかもしれませんが、日常生活が一変し感染予防に対する意識が一気に高まりました。その効果かもしれませんが、毎年流行していたインフルエンザはここ2年鳴りを潜めています。正しい感染予防を行い、健康な日常生活を送れるようにしていきましょう。